第四話『仲直り?』 「あっ……」 「あっ……」 お互いに道の真中で立ち尽くしてしまう。 まさかこんな所で会っちまうなんて、心の準備できてね−ぞ…… 友恵もなんだか気まずそうにその場に立っていた。 なんだか声をかけづらい。 今までだって何度も喧嘩してきたし、すぐに仲直りも出来た。 なのに…… 「わたし、行くね……」 友恵が背を向けて走り出す。 「ちょっと待て!!」 慌てて友恵の正面に廻って塞いだ。 なんだか今逃がしてしまうと一生謝れなさそうな気がした。 大袈裟だけど…… 「……ちょっと来てくれ……。」 「………」 友恵は黙っていたが俺が歩き出すとその後についてきてくれた。 休み中だらけた生活を続けていたのが祟ったな。 弱った足腰にこの坂はキツイ。 友恵はなにもいわずついて来る。 今はそのほうが良かった。俺も歩きながら色々考えることあったし…… 林を抜け目の前が明るくなる。 顔に心地よい風があたる。 そこには小さい丘がある。 白陵柊の裏手にあるこの丘にはあまり一般の人は来ない。でも俺達は小さい頃からココで「秘密基地」とかやって遊んでいた。 今でもひとりで来ることがある。 ここは時間が止まったような気になれるから…… 振り向くと友恵が俺を見ていた。 「………」 「…………」 「これ。」 さっき買った物をジーンズのポケットから出す。 友恵の胸にめがけてそれをほおる。 「!?」 驚きながらもしっかりうけとってくれた。 「なに?これ……」 「誕生日の………」 「えっ……あ……」 こいつ、自分で忘れてたのか? 「今日、八月二十日は比奈本友恵の誕生日だろ。………おめでとう。」 そんな事を言っている自分が無償に恥ずかしかった。 「………うん。」 友恵は状況を理解できていないらしくただ言われた事に頷いているだけのようだった。 それでもいい。 「…それと……ごめん。」 「えっ!?」 「物でつるみたい嫌だったんだけどちゃんと言いたかった。ごめん!!」 俺はこれ以上にないくらい腰を曲げて謝った。 「………」 無言の時間が続く。 俺もそのかっこのまま動けずにいた。 「ぷっ…ははははははは……。」 「!?」 いきなり友恵が大きな声で笑い出した。 「なんだよ?いきなり笑い出して。」 「ははははっ……。あっ、ごめん。いや、なんだかそんな健介始めて見たから。」 カァァァーー…… 一気に顔が赤くなっていくのが分かる。 そんな事言われるとは思わなかったから今になって恥ずかしさ倍増。 「でも、うれしい……。」 「え!?」 友恵はさっきまでの笑っていた顔とは違い、どこか恥ずかしそうなそして嬉しそうに顔をして頬を赤くしていた。 「健介が私の誕生日覚えてくれたなんて……。」 「正直言えば忘れてた。でも、誠也や塚本、泉に尻叩かれてな。思い出した時には無性に自分が情けなかったな。一番付き合い長いのにな。」 「そっか……。」 「ああ。」 「……そうだよね。健介……私……」 友恵が俯き少し寂しそうにしている。 「!?」 なんか俺……悪いこと言ったかな?? 「……友恵?」 「……ううん、なんでもない!!プレゼントありがとね!!」 そう言った友恵の笑顔は丘に差し込む夕日と相まってとても綺麗に見えた。 なんだか無性に恥ずかしくなったからそこで話題を変えることにする。 「箱、開けてみろよ」 俺の促しに答えて友恵が箱の包装を綺麗に剥いだ。 「あ……きれい……。」 友恵の手には小さな懐中時計。 時計自体は少し大きなボタン位しかないものだが銀で出来ていて、飾りの少ないシンプルなデザインに惹かれて選んだ。 俺はそれをほとんど悩まず選ぶ事が出来た。 これが友恵に似合うって思えたし、指輪とかはなんだかませてる感じがして違うと思ったし…… 「これ、高かったでしょ?」 むぐっ……痛い所を突きますな……。まあ、確かに安くはなかったが…… 「そ、そんな事気にするな!!それよりも、大事にしろよ。」 「うん!!」 今までで一番の笑顔の友恵がそこにいた。 ドキン!!! 友恵の顔に胸のあたりが跳ねたのが分かった。 なんだろ……?さっきの笑顔もそうだけど…… そのあと俺達は朝の事がなかったようにいつも通りの会話をしながら家路についた。 「じゃあな。」 「………うん…」 友恵の家の前で別れようとした、そのとき 「う……」 その場に胸を押さえてうずくまってしまう友恵。 すぐにかけよって肩を抱く。 「おい!!大丈夫かよ?」 友恵は深く深呼吸をして落ち着こうとしている。 が、呼吸は友恵の意とは逆に速くなっている。 「……大丈夫。大丈夫。ちょっと息苦しくなっただけだから。」 そう言って笑う友恵だが、手が胸を強く押さえているのは俺にも分かった。 「おい!!」 「だいじょう……ぶ……」 そのまま気を失ってしまう友恵。 「おい!!おい!!!友恵!!!!」 俺はすぐに友恵の家に呼びかける。 「おばさん!!いないんですか?おばさん!!!!友恵が……友恵が!!」 家の中からは返事はない。 まだ帰ってないのか? 友恵を背負ったまますぐ近くの公衆電話で救急車を呼ぶ。 テレビとかで救急車はすぐ来るって言ってたけどそんなの嘘だ。 待っている側からすればこの待つ時間は永遠のようにも感じられる。 「友恵!!友恵!!!」 呼びかけるが荒く呼吸をしているだけ。 なんで、なんでだよ。さっきまで楽しく笑ってたじゃないか?プレゼント喜んでくれてたじゃないか?なあ?
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