『ファミレスにて』

何故か凶暴なウェイトレスにビビリながら、聖也はファミリーレストラン『すかいてんぷる』
での昼食を終えた。
それでも聖也何度もアイスコーヒーをお代わりし、なかなか席を立とうとしなかった。



(だって……外、あちぃじゃん……)


往来を行く人々の額には玉のような汗。
こんな日に外を歩くことはほとんど自傷行為に近い。


もう何杯目のお代わりだろうか。
ランチタイムも終わり、フロア内の人口密度も低くなりつつある。
カウンター席についている客も自分を除くとほとんど零に近い。



たまにはこういう所でゆっくりと時間を潰すのもいいかなぁ……なんて考えていたとき、二席
ほど離れたカウンター席に一人OLがウェイトレスに案内されてやって来た。
少し遅れた昼食なのだろうか。
さすがに顔をまじまじと見るのは変人扱いされては堪らないので控えるが、自分とほとんど変
わらない年齢に見えるOLに少しばかり尊敬の念を感じてしまった。

自分も、もう大学三年。
就職活動もそこまで来ているっていうのにイマイチ真剣味に欠けるところがある。
言い換えればやりたい事、明確なビジョンが見えてこない。
他の奴らはどう思っているのか分からないが、自分よりは先を見据えて進んでいるように見え
る。
あの健介でさえ(本意は定かではないが)教師を目指して、教育実習期間が終わったのにもかか
わらず、白陵柊に通っている。
塚本も既に編集会社に内定を決めているという。
平も親の会社を継ぐらしく、それ関連の勉強をしているのを良く見る。
自分だけが何も出来ていない。
そういう取り残された感を最近……感じる。


「はぁ……」




ため息をついたところでやりたい事が見つかるわけでもない。
そんな誠也を余所に、隣の方はなんだか楽しそうにストロベリートークってるわけで……
声の主は先ほど入ってきたОLのようだ。
聖也は文句の意味を籠めて非難の目を向ける。
つい先ほどまで尊敬の念を抱いていた相手ではあったが、今の心境の聖也にはあまり関係なか
った。
しかし、そこで聖也は気付く。


「えっ……」

ОLが楽しそうに話していた相手がウェイターであったことに。
聖也はОLとウェイターの顔と名前を知っていた。


「あれ……お前たち……」


思わず声を掛けてしまった。


二人が誠也のほうを向く。


目の前の二人は白陵柊時代のクラスメイトだった。




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